2019年3月3日日曜日

50 クリスタルと水の世界

入院の前日、私は飛行機に乗る前に親友と会った。テーブルを挟んで座った彼女の首からは大きなクリスタルのペンダントがぶら下がっており、私の目はそれに惹きつけられ、触れてみたくなった。 

彼女から許可を得て手のひらの上に乗せた瞬間、クリスタルの中にある金色に光る細工から何かが勢いよく飛び出してきて、私はビクッとした。私の触覚が金色の光とぶつかると細かい粒子になってパチンと弾け、空間に広がっていったような感覚になった。 

その影響もあったのか、入院する日の朝方、私はいつもとは違う種類の夢を見た。

夢の中で私は小道を歩いていると、いつしか深い森の中にいた。そこには、前方に淡いラベンダー色の光を放つ水たまりがあり、その向こうには薄水色の水たまりや、透明な水たまりがあちこちで輝いている。奥には、それらの源であるV字型の氷河が厳かな姿でたたずんでいる。それ以上ないというほど透明で清浄な空間。私は、全てが美しく光り輝く森と水の世界にいた。

この手の夢を見るのは久しぶりだった。ずっと以前に岩の間を縫うように流れる川の夢を見たことがあり、その時は岩の上のあちこちに色とりどりのクリスタルがあり、水とクリスタルが光り輝いていた。

今回の夢は、その時の夢とよく似た感触を与えるものであり、いずれも幻想的だったが、別次元で実際に存在していると感じさせるほど見るもの全てがイキイキとして、そこに宿るいのちの輝きを放っていた。 

その翌日、手術の日の朝方にも夢を見た。先端が丸みを帯びた柱状の大きなクリスタルが現れ、クリスタルの内側で中央から勢いよく水が湧き出ていた。そのクリスタルは実際私が持っているものであり、水の湧き出る様子は数ヶ月前に岩手と北海道で見たものにそっくりだったため、私は夢と現実が交差している不思議な感覚を覚えた。 

クリスタルのペンダントを着けていた親友に夢のことを伝えると、彼女はほぼ同じタイミングで、とある湧水のことを耳にしたばかりだったという。気になったため、その場所の画像をインターネットで検索してみると、その湧水はまるで瞳のような形をしていた。 

これから手術を受けようとしている私に、クリスタルや水の夢、そして瞳の形をした湧水の存在が集中的に浮上していたのだった。


北海道京極町ふきだし公園にて