2019年3月3日日曜日

47 メディスンマンのリーディング

シアトルに、自分が作ったカードを使って、店の一角でリーディングをする古老のネイティブアメリカンのメディスンマンがいる。古老の存在は20年ほど前から知っていたが、私がリーディングをしてもらいたいと思うようになったのは、2012年に日本へ戻ってからのことだった。 

古老は週に2日くらいしか店にいないと聞いていたが、私はシアトル滞在中にたまたま行ってそこに古老がいれば、リーディングのタイミングだと思い、セッションを受ける。 

私はカードをシャッフルするだけで、あとは古老が10枚ほど並べていく。20分間のセッションだが、カードから読み取ることを話しているように見える時もあるが、視線が遠くに向いている時もある。時間が来て鳴り響くタイマーをバン!と手のひらで止めて、そこから質問してもいないことを話し続けることもある。もうそれはリーディングではない。

初めてのセッションの時、カードが並べてあるのに、それは横に置いておいてという風に顔を上げて、私の目をじっと見つめ、古老は、一語一語注意深く力を込めて、ごくゆっくりとした口調で言った。 

「まず、言っておこう。君はこの時期(震災後)に、日本のその場所に移り住むということを、最初から魂が決めてきたんだ」 

丹田のあたりにグッと力が入った。なぜなら、それは私自身が1ミリも疑うこともなく感じていたことだったからだ。そうでなかったら、起こり得ない形で、住んだこともなく知人も一人もいない場所に引っ越すという展開はあり得なかった。 

初めてのセッションで、いきなり魂スケールのことで始めるなんて、やはりメディスンマンだなと思った。これはただのリーディングではなく、古老の口を通して、私はスピリットと魂レベルの対話をしているのだと思った。そして、それこそを、私は欲していた。 

あるセッションでは、古老は、私が内心気になっていても言及しなかったことをまるでその映像を見ているかのように取り上げ、高い視点から何が起こっているのか説明してくれた。その説明は、言葉と共に私の額の前に映像としても描かれて入ってきた。それは占いではなく、その出来事を引き起こしている原因、つまり人間の心の一側面に光を当てるものだった。そして、最後に古老は、常にスピリットが守ってくれているから安心して良いと言った。 

あることがきっかけで母が精神崩壊状態になってしまう前にも、私はシアトルを訪れ、たまたまセッションを受けていた。セッションの終わりに何か質問はないか?と尋ねられたので、私は母の体調不良が気になっていることを話した。すると、古老は急に顔をしかめ、母自身が長い間向き合うことを怠ってきた宿題のことを言及し、母はそれに取り組む必要があると言った。 

それから約2ヶ月後、一気に母の精神が不安定になり、家族共々しばらく闇の中を通ることになった。それはかなり強烈な出来事だったが、その時に古老からもらった言葉のおかげで、私は真っ黒な渦の底まで引きずり込まれて沈むことなく、なんとかくぐり抜けることができた。 

起こっている問題と同じレベルで物事を捉えていたら、恐怖の渦に取り込まれて多分一緒に沈んでいただろうが、それよりも高い位置からの視点は、私の顔を水の上に留まらせ、前を向くことを促してくれた。 

古老がくれた言葉は、私を守り導くスピリットの光だった。その光の中で、私は確信を持つようになった。母は闇から抜け出せる、そういうことになっている、と。私は母に、渦から抜け出る日が必ず来るからと言って励まし続けた。そして約2年後に、私が言った通りだったと母が認める日が来ることになる。