2019年3月3日日曜日

18 ラブフルート

翌日空港に向かう前に、ラブフルート工房 KOCOMATSU の小野昭一さんを訪ねた。小野さんは、4年前に北海道で開いたタッチドローイングワークショップの会場を提供してくれた方だった。  

当時、北海道には面識のある知人もいない中でワークショップを開く流れになったこと自体不思議だが、会場を探していた時に、全く知らない人からフェイスブックに突然横レスが入り、小野さんを紹介してくれたことは、もっと不思議だった。 

どんな方だろうと小野さんのホームページを覗いてみると、ご自身がワタリガラスとご縁があり、ブルーレイバンクリエーションというビジネス名でラブフルートの制作販売を行っているとのことだった。

私はそれを知った時、「あっ」と声を出しそうになった。なぜなら、私はシアトルに住んでいた頃に、環境エッセンス(波動水)を作って、エッセンスのシリーズに「レイバン・クリエーション」と名付けていたからである。

会うべく人には会うことになっているんだなあと思わずにはいられなかった。 

会うと、思いもよらぬ展開が待っていた。下見も兼ねて事前に会って話したいと午後に小野さんを訪ねたら、タッチドローイングそっちのけで夜まで話し込んでしまい、フルートを聴かせてもらったり、吹かせてもらったり、小野さんが叩くドラムの音に合わせて声を出したりと、いきなり濃い時間を過ごすことになった。 

振り返ると、タッチドローイングももちろん目的なのだが、ラブフルートに出会うことにも目的があったようだ。私は小野さんが作ったラブフルートがずらりと並べられた空間で様々な話をし、話の流れの中である一本のラブフルートに息を吹き込んだ瞬間に出た1音の、その衝撃的な優しさに圧倒されたことを忘れることができない。 

その時、ブワッと涙があふれ出た。それは涙腺から出たというよりも、どこか遠くに置き忘れてきたような懐かしい優しさの振動がハートに触れて、大きな波が涙となって出たという感じだった。

私は、そのフルートにワタリガラスの炎のモチーフとアイヌ文様を加えて仕上げてもらい、数ヶ月後に受け来ることとなった。


KOCOMATSU   小野さんが作るラブフルートたち