それは、北海道へ行きたいという衝動で、体の奥から突き上げてくるのでじっとしていられない。もうすぐにでも行きたい。
札幌にいる友人と一緒に小旅行をしたいと思い、連絡すると即オーケーだった。では、北海道のどこへ行きたいのか?
実は3年ほど前にも同じような衝動があり、その時は夢で行き先を教えてもらった。しかし、今回は夢はおろか、アイデアさえ出てこない。
ふと、他にも会いたい人たちの顔が浮かんだ。到着日が月曜日なので、多分無理だろうなあと思いながらも、来れる人だけでどこかで集まって昼食でも、と軽い気持ちで4人に声をかけてみた。3年前に札幌で開いたタッチドローイングのリトリートの参加者で、深い縁を感じた人たちだった。
今回の旅は、ひょっとしたらこの面々で集まることに意味があるのではないか?そんな気もした。
メッセンジャーを介して、来れる人だけで札幌駅近くで昼食か夕食でもと軽く声をかけたら、仕事を休んでくれる人もいて、結局全員が参加ということになった。
さらに、面々が揃うと、そこから何かに引っ張られるかのように、計画が思わぬ方向へと展開し、あれよあれよという間に話が拡大していった。
札幌駅近くでの食事プランはいとも簡単に消え去り、私が泊まるゲストハウスに全員が集合し、そこで夕食をご馳走になって一泊して、せっかくだから、翌日みんなでどこかへ行こうという豪華プランに一変したのだった。
有難いことに、急で一方的なリクエストにもゲストハウスは柔軟に対応してくれ、全てが驚くほどすんなりと決まってしまった。宇宙のフローに乗ると苦労もなく物事が進んでいき、ワクワクで満たされるというのは、こういうことなのか?
それにしても、こんな意外な展開は初めてだった。行き先を決める段階でも、メンバーそれぞれが感じるままにする提案が興味深い形で繋がり合っており、決めていく過程で、そこに土地と歴史と個人の体験や思いのエネルギーが織り込まれていくような感覚さえあった。
みんなで訪れる場所も、解散後に私ともう一人の友人と二人で続ける旅の行き先も、話し合いの流れの中で自然に決まっていった。道理で、行き先が夢にもアイデアにも出なかったわけだ。こうなることになっていたのだろう。
頭で考えるレベルをはるかに超えた宇宙のフローに乗ると、頭で考えるレベルをはるかに超えた体験がもたらされる。この時は、今回の北海道の旅で今までとは別次元の体験が待っているとは、想像だにしなかった。